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Q.勉強の方法が見えなくなり、からまわりしているように感じます。

A 「量より質。自分が好きになれる勉強法を探しましょう」

■勉強は時間ではなく質。

きっとあなたはとても真面目な人ですね。

「一日○時間以上勉強しなくてはいけない」と思ってはいませんか?

「○時間以上睡眠を取ってはいけない」と決めていませんか?

時間でノルマを立てるとノルマがだんだん苦しくなってきます。

ですからノルマは時間で立てるのではなく、

一日○問、○ページという風に内容で立てる事をお薦めします。

ノルマを内容で立てるようになると、そのノルマが達成できれば

たとえ勉強時間が30分でも勉強から開放されます。

短い時間で勉強から開放されるとなれば勉強への集中力が高まりますから

おのずと勉強の「質」も上がってきます。


■好きこそ物の上手なれ

勉強ができるようになる一番の近道は勉強が好きになることです。

ですから「勉強はつまらないものだ」と決めつけずに

「どうしたら勉強が楽しくなるか」ということを

常に追求して欲しいと思います。

受験という戦いに勝つためには、人と同じことをしていてはダメです。

自分にとってどの様な勉強法が楽しく効果があるかを常に工夫をしながら考えて下さい。

「自分なりの勉強法」を見つけるのは一見大変で面倒そうに思うかもしれませんが、

自分に合った勉強法を探すことは自分を知ることにも繋がりますから、

それはわくわくする様なとても楽しいことであるはずです。

もちろん、学校の先生も勉強の方法を指導されることでしょう。

でも、それを鵜呑みにする必要はないのです。

先生が薦める勉強法はほんの一例ですから、

それが全く合わずにかえって伸び悩んでしまうことだってあり得ます。

そういう場合は先生の意見は参考程度にとどめ、

「自分にはもっと良い方法」があるはずと信じて

試行錯誤をしながらあなたに最適の勉強法を探してみて下さい。

そのうちに

「あっ、なんか勉強が楽しい」

と思える方法がきっと見つかるはずです。



■「暗記」をやめよう。


勉強を好きになるための方法として私が提案したいのは

暗記する事を極力やめることです。

暗記は勉強をつまらなくし、好きになることから遠ざけます。

考えれば分かることはできるだけ覚えないようにすれば思考力も磨くことができますし、

何より自分の頭で考え結果を導くことは

単なる暗記よりはるかに充実感があり「楽しい」ことです。

人間の記憶力というのは背景にストーリーがあると途端に増します。

例えば先週1週間の夕飯を月曜日から順番に思い出せと言われても

なかなか難しいと思いますが、

「月曜日は釣りに行ったからお刺身で、
 
 火曜日は釣った魚の残りを焼いたから焼き魚で、
 
 水曜日は魚に飽きたから焼肉にして…」

などと背景にストーリーがあれば結構難なく思い出すことができるでしょう。

有名な「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府」のように

語呂合わせだと年号が覚えやすいのもこの良い例です。

数学や理科で言えば、公式は年号そのものであり、

公式を導くプロセス(証明)がストーリーに相当します。

公式は忘れたら何度でも証明して導き出しましょう。

公式は結果を覚えるのではなくそれを導くプロセス(証明)を

いつでも再現できるようになることが何より大切です。

公式を自分自身の手で何度も証明しているうちに

公式の背後にあるストーリーがあなたのものになります。

そうなれば公式はあなたにとって

いつか忘れてしまう「知識」ではなく

決して忘れることのない「知恵」となるのです。

教科書に載っている膨大な量の公式をただ丸暗記することは

試験範囲が決まっている定期テストでは可能でも

すべてが試験範囲である大学受験においてはほとんど不可能です。

しかも無味乾燥な知識としての公式をいくら覚えても

その背後にあるストーリーが分かっていなければ

どれをいつ使うのかが分からなくなり役に立ちません。

ですから公式の丸暗記は「骨折り損のくたびれ儲け」と言えるのです。

一つ一つの公式を証明していくことは 遠回りのように思えるかもしれませんが、

数学や理科が出来るようになるための最短の道 であると私は考えます。



では英語についてはどうでしょう。

私は英語の単語を覚えるのに極力「出る単」系は使わないことをお薦めします。

この手の本で「重要単語」についている訳は最大公約数的な訳なので

「当たらずとも遠からず」な抽象的な意味を載せていることがほとんどです。

様々な場面で応用できるようにそういう風になっている訳ですが、

実際の長文を読む時には抽象的な意味が積み重なると

全体の印象がぼやけて「何だかよく分からない」ということになりがちです。

また「英単語と訳語」という組合せで脈略なく丸暗記をしても

訳語に表しづらいその言葉のニュアンスが抜け落ちていては

書き手がその言葉を選んで表現しようとしていることが汲みとりづらくなります。

結果、真意を誤解してしまうのです。

例えばMaryがTomに

"Why don't you come with me ?"

と言ったとしましょう。

これをを「どうしてあなたは私と一緒に来ないの?」

と訳してしまうと、日本語ではMaryがTomを責めるようなニュアンスになりますが

実際には「一緒に行きましょうよ!」

というとてもポジティブな誘いの表現であり、そこに批判的なニュアンスはありません。

このことは"why don't you~"という表現が

どのような場面で使われているかを知らない限り知り得ないことです。

しかもこのニュアンスを知らないとMaryの気持ちを誤解する可能性は大きくなり

この後にMaryとTomが一緒に楽しく出かけている場面があると

「あれ?MaryとTomはいつ仲直りしたのかな?」と疑問に思うことでしょう。

つまり「よくわからない」状態になってしまいます。

ですから、 私は英語の単語を覚えるためにはとにかく長文を読むべきだと考えます。

そして、その長文の中で出会った単語のうち分からないものがあればノートに書き出し、

辞書を引いてその文章の中でもっともしっくりとくる具体的な訳を調べるのです。

こうやってあなただけの 「単語帳ノート」を作りましょう。

このノートの中には実際にあなたが長文の中で出会った単語の、

それが使われた場面での「生きた訳」が詰まっていますから

あなたにとってこのノートは最高の「出る単」になるわけです。

しかも長文の中で単語と出会えば、ニュアンスが分かるばかりでなく

文字通りの「ストーリー」が単語に付くことになりますから

覚えやすさも格段にアップします。

もちろん同じ単語が繰り返しノートに出てきても構いません。

その際に

「まただ。まだ自分は覚えられないのか」

と嘆く必要もありません。

単に何度も出てくる重要な単語ということを

認識するだけで十分です。

大丈夫です。 いつかは必ず覚えられます。

重要単語が羅列してある「でる単」を使って覚えることは

一見効率的なように思えるかもしれませんが、

ニュアンスのわからない抽象的な訳は

長文読解の場面であなたを迷わせるだけです。

英語を学ぶことの目標が

英語のネイティブ・スピーカーの感覚に近づくことだとすれば

長文を読み、生きた言葉に触れること以外に道はありません。

英語ができるようになるためには

この
単語帳ノートを作ることこそが
最も近道であると

私は考えます。



■忘れることは良いこと

人間の記憶は「手のひらで水をすくうこと」に似ていると思います。

手のひらから水を漏らさないことは無理なのです。

ガチガチに手に力を入れて、たった1回で水をすくおうと頑張っても

疲れるだけでたいして水をすくうことは出来ません。

水をすくうときは、いつもあなたがしているように、

力を抜いて何回でもすくえば良いのです。

記憶も同じことです。

忘れるのは当たり前と考えてください。

忘れることは悪ではないのです。

忘れたら何回でも覚えればいい、それだけのことです。

それどころか私はむしろ積極的に忘れるべきだと思っています。

なぜなら覚えなおすことで新しい発見があり1回目より2回目の時の方が

様々な連想ができるようになるからです。

この連想も一つの「ストーリー」と言えますから、

人間は覚え直せば覚え直すほど忘れづらくなると言えます。

つまり、逆説的ですが、

忘れないためには忘れることが重要なのです。




■大学受験突破に必要なのは「思考力」

いわゆる良い大学が学生に求めているものは決して知識の量ではありません。

大学の先生が自分の専門分野について100の知識をもっているとしたら

高校生の知識はせいぜい1〜2程度しかなくて当然です。

ですから大学の先生としては

受験生の知識が1であるか2であるかについてはあまり興味がないのです。

それよりも何よりも、受験生が新しい問題に直面したときに

どれだけ思考力を働かせられるかについて知りたいと思っていますし、

またそれを期待しています。

なぜなら大学入学後に知識を増やすことは容易ですが、

思考力を育てるのはとても難しいからです。

思考力を鍛えるためには、当たり前ですが、

「自分の頭で考える」習慣を身につけるしかありません。

筋肉を鍛えるのと同じように、脳みそに負荷をかけ、

脳に汗をかかせる習慣が思考力を育てます。

そのためにはまずは丸暗記をやめ、

自分の頭で考えるクセを身につけましょう。

そして次は例えば志望校の過去問などの良い問題(難しい問題)を

すぐに答えを見ずに分かるまでずっと考え続けましょう。

考えることは机の前でなくて構いません。

逆に机の前に座って一つの問題を考えるのは長くても1時間までとした方が良いです。

1時間考えても分からない問題は、一度考えるのをやめて、

リフレッシュした後にお風呂や電車の中や寝る前の布団の中など

生活のあらゆる場面で思い出して考えてみましょう。

分からない問題を懸命に考えている時間、

それこそが思考力を高めるための最高の時間になります。



■丸暗記をやめて楽しい勉強を

暗記をしない勉強法に切り換えることはとても「怖い」ことだというのはわかります。

しかし暗記だらけの勉強は何より「つまらない」と思いませんか?

苦しくありませんか?

楽しくない勉強で学生時代が塗りつぶされてしまっても良いのでしょうか?

そもそも成績が伸び悩んでいるのは、今までも勉強法がダメだと言われているのと同じことです。

このまま丸暗記に頼れば頼るほど成績はさらに落ち続けてしまうでしょう。

そして努力が報われないことに苛立ち、自分自身の能力を疑い、

人生そのものが嫌になってしまうかもしれません。

でも覚えない勉強法は「楽しい」勉強です。

楽しい勉強であれば仮に成績が悪くとも苦しくはならないはずです。

しかも成績はそのうちにじわじわと必ず上がってきます。


10代のまばゆい程に輝く貴重な時間を

不毛な勉強に費やさないで欲しいと思います。

あなたの中の無限の可能性は

あなた自身が自分を信じ、
自分の頭で考えることによって

はじめて実を結びます。

「楽しい勉強」があなたの毎日を色鮮やかに彩り

あなたの人生が大きな飛躍を遂げることを願ってやみません。



 

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管理人 永野裕之



東京大学理学部
地球惑星物理学科卒